株式会社早稲田アカデミー

早稲田アカデミーの業務・集客効率を改善した
イベント業務の新・オペレーション

首都圏において小学生・中学生・高校生対象の進学塾を経営している株式会社早稲田アカデミー。難関校への圧倒的な合格実績により形成したブランド力を背景に、塾生数を伸ばし、業績拡大を続けている。

同社の広告宣伝部では、SHANON MARKETING PLATFORM(シャノンマーケティングプラットフォーム、以下SMP)を導入し、100以上の校舎で実施される模試・イベントなどの集客に活用している。基幹システムとのデータ連携による作業効率化だけでなく、施策の精度向上や機動力向上が実現できたという。導入プロジェクトのビフォーアフターについて、生の声を聞いた。

Point

  • 前事後の手作業が膨大だった集客イベント関連業務が大幅に改善
  • RPA活用により基幹システムと連携実現、リアルタイムなデータの反映、集計
  • 精緻なターゲティングとシナリオによってメールマーケティングの成果が向上

イベントに付随するアナログ作業が負担だった5年前

SMPを導入する以前の早稲田アカデミーではイベントの申し込みを「昔ながらのやり方」で処理していたという。

椎名晋大郎さん(以下、敬称略)「 「受付から当日対応、事後処理まですべてがアナログでした。受付は電話で、どのイベントに出たいかを聞いたら、Excelに記入。その後本社で集約し、来場見込みを手作業で集計するんです。来場者は入場券をコピー機で印刷し、来場者に郵送。当日も持参された紙のチケットを受け取ってからまた、来場状況をExcelに手入力するという状況でした」

椎名「いまどきWebで申し込んだらメールなどで完結するのが当たり前、という感覚があると思うんですが(笑)。5年ほど前までは、あらゆる作業がアナログな状況でした。 私自身が本社のシステム部門で仕事をし始めた当時、ちょうど、世の中の流れにあわせ、ICTの活用推進をしようということで、様々なプロジェクトが立ち上がったタイミングだったんです。
課題を100以上リストアップし、優先順位をつけることから始めていました。本件は、そのなかでも優先度トップ3に入っていました。」

作業量の多さに加え、正確性や募集効率にも課題があったという。

椎名「手作業ですと、どうしてもお名前の表記が違ったり、参加イベントを間違えたり、ミスが発生してしまいます。 また、入場券を紙で郵送するので、前日にお申し込みいただいた方への入場券の発送対応ができないことから、3日ぐらい前に、締め切らざるを得ない。そこで、機会損失が発生してしまいます。なんとかご希望されるお客様には来場いただきたいのですが、ギリギリまで受付を延長すると、混乱のもとになってしまっていたんです」

ペーパーレスでの受付、当日対応、集計が可能になった

SMPによって、申し込み受付から当日の入場までがペーパーレス化された。作業軽減だけでなく、集客状況をリアルタイムに把握できるようにもなった。

椎名「集計と報告作業時間が実質ゼロになっているのが大変大きいですね。SMP導入前は、集計ひとつでも、全校舎からExcelファイルを集めないといけなかったんです。百数十校あると、単純に、期日通りに集めるだけでも一苦労でした。 現在は、SMPで完結する形でリアルタイムに把握ができるようになりました。
集客状況の把握が迅速になることで、追加施策を打つなど、これまではできなかった対策が、タイムリーにできるようになったんです。これは、次の手を打ってより良い状態を作るために、すごくプラスになっています」

MA機能の活用で集客に貢献

同社では、すでに塾生として登録済みである顧客、イベントに来場して入塾検討中の顧客、卒業生など、登録状況にあわせたメール配信を行っている。これも従来は手作業が主体だったが、基幹システムの刷新にタイミングをあわせて、連携開発を実施。大幅な業務改善を実現した。

服部恭則さん(以下、敬称略)「SMP導入前は、様々な問い合わせ者データから必要な情報を抽出して、1つのExcelに集約し、メール配信停止希望者の除外や年度またぎによる学年の振り替え作業など、メール配信用リストを作るのに大きな労力と時間を費やしていました。 2年ほど前に、基幹システムの刷新とホームページの全面リニューアルを同時に行って、全部の情報を集約することが可能になったんです。そこにあわせて、SMPとも定期バッチ処理でデータが連携できるようになりました。」

塩野谷結花里さん(以下、敬称略)「さまざまな属性データを紐づけることで、塾生・非塾生や学年、これまでどういった模試・イベントに申し込みされたことがあるのかなど、リアルタイムなデータ管理が実現。そこで、学年や問い合わせ者の目的・志望にセグメントしたメール配信ができるようになりました。」

Excelでの作業だと、リストの加工や抽出の際にヒューマンエラーが発生するリスクを抑えきれないだけでなく、紐づく属性情報による細かなセグメント配信も困難だった。

塩野谷「例えば、中学生ですと、高校受験をする中学生と、中高一貫に通っていて、大学受験を目指している中学生がいたりと、単純に学年だけでは状況はわからないんです。
そこで、過去にどういう問い合わせをしているかが大切になります。大学受験のイベントに資料請求をしているか、高校受験のイベントへの問い合わせをしているのか。過去のキャンペーンの申し込み状況でセグメントをわけるのは、過去にはできなかったことでした。 SMPの内部に関連するデータが紐づいているので、細やかにセグメントして、お客様の状況にあわせた配信ができるようになりました」

センシティブな配信準備の精神的負荷の軽減と配信頻度の拡大

MA機能の活用は、メールマーケティングの成果拡大だけでなく、流量拡大にも寄与したという

服部「システム切り替え前は、作業負荷の問題だけでなく、誤配信などの不安とリスクが精神的負担となっていました。成果が出やすい施策のため、高頻度の実施を要望されるんですが。対応しきれず、せめて月に1回か、多くても2回という状況でした。
SMPのおかげで、これまでExcel管理だったのが、お問い合わせ状況も含めた様々な履歴が残せるようになったので、セグメントわけも簡単になり誤配信の心配も大幅に軽減されました。いまでは、週に1回配信できるほど安定運用が実現しています。」

RPAも含めたサービス同士の連携構想が、インフラとしてマーケティングを支えている

椎名「現在運用している基幹システムの開発にあたって、さまざまな機能やアプリケーションについて、それぞれ強みのあるベンダー様のサービスを利用させていただくという基本方針をもっています。それらをどのように繋ぐのかという全体像を考えていくのが我々の役割だと考えています。 実は、SMPとの連携は正直結構難しかったんです。ユーザー部門と宣伝部で、イベントやフォームごとに、項目を変えていくため、単純にAPIで連携することができないんです。
SMPのクイックCSVの機能とRPAを組み合わせるのが、スピード感とコストと実現性があるという結論になりました。そんな検討があって、一年ぐらいまえから本格的にSMPとつなぎ始めたということころですね。」

マーケティングの今後の課題は、オフライン、口コミも含めたトータルな施策展開

基幹システムとウェブサイト、エントリーフォームが連携し、マーケティング面では基盤が整いつつある同社。今後のビジョンについて伺った。

服部「SMPの導入により、ユーザーがウェブサイト上でどういうページを見たとか、どういう経路でコンバージョンしたかは分析できるようになっているんですが、オフラインの部分も含めた仕組みを構築したいですね。そこは近い将来変えていきたいと思っています。」

今後の展望:顧客満足と利益向上を目指して、ICT活用推進は今後ますます加速させる

広範囲なシステムを連携させることで、業務改善を実現している同社の取り組みは、業界全体から見ても先進的だ。最後に、今後の開発方針を聞いた。

椎名「顧客サービスに直結するような、システムの改良の観点と、働き方改革の具現化、業務の改善といったところにどういうプラスが生めるか。このふたつの観点で考えています。最終的にはそこから顧客満足と、会社の利益の向上、というところにどう紐づくか。 外部のシステムも含め、全体像をそのふたつの軸でとらえ、何が最良かをジャッジしています。今後はその流れがもっと加速していくと思います。」