株式会社オロ

オロ社の現場で成果を出した
メルマガとインサイドセールスの効率運用

経営と業務の効率化を目的に、業務管理、管理会計、プロジェクト損益管理などの機能を持ったクラウドERPを提供する株式会社オロ。同社はShanon Marketing Platform(シャノンマーケティングプラットフォーム、以下SMP)を導入し、東京と宮崎の2拠点にまたがるマーケティングチームの運用を行なっている。インサイドセールスやメールマーケティングなどの施策にSMPをどう活かしているのか、現場チームに生の声を聞いた。

Point

  • マーケティング施策が横断的に管理可能になる
  • 顧客ごとのカスタマージャーニー把握がしやすくなり、分析の精度が上がる
  • インサイドセールスとの連携が強化できる
導入企業
株式会社オロ
導入部門
  • ビジネスソリューション事業本部
URL
https://www.oro.com/ja/
ビジネスソリューション事業本部 マーケティンググループ 藤澤康二氏(左)
ビジネスソリューション事業本部 マーケティンググループ山口文香氏(右)

ツールの数だけ広がった、施策の分断

SMPを導入する以前は、顧客情報管理やメール配信などの仕組みが乱立した状態だったという。顧客情報は同社が提供するクラウドERP『ZAC』のコンタクト管理モジュールで一元管理、メルマガはクラウドツールを使用して月に1回程度の頻度で配信していた。元々、自社開発のツールを用いてコンバージョンユーザーのトラッキングを行っていたが、2016年ごろからは、オープンソースのMAツールである『Mautic』の導入も試みた。

そのため、顧客に対しての様々なアプローチ間に文脈がなく、施策が分断したまま進められてしまうという課題を抱えていた。

藤澤康二さん(以下・敬称略)「本当は1 to 1で個別に施策を打ちたいのに、細かいデータの分析や連携ができないため、解像度の粗いターゲットに対してマスな施策を実行するしかありませんでした。この状況を改善する必要性を感じ、マーケティング支援ツールの導入を検討しはじめたんです」

当時の人員配置は、マーケティング部署のメンバーが4人、インサイドセールスは専属の人が2人というミニマムな体制。作業効率を上げるために、架電リストの優先順位管理や、リードの状況把握ができる仕組みづくりは必至だったという。

藤澤「ERPの商材の宿命だと思いますが、お問い合わせをいただいてから受注するまでの期間が長いので、顧客との関係を継続的に高めていく必要があります。また、失注案件も一定の割合で発生するため、そこへのフォローも継続しなければいけません。こうしたコミュニケーションを実現するにはインサイドセールス組織が必要になりますが、今後さらに人を増やしていくとなれば、インサイドセールスをもっと仕組み化していかなければならないし、架電先の優先順位もつけられるようにしないと……という感じで、課題が山積でした」

顧客の一元管理で、インサイドセールスとメルマガの効率化を実現

SMPの導入による最たる変化は、顧客の一元管理が可能になった点だと藤澤さんは振り返る。

藤澤「導入前の顧客管理体制は、施策ごとに分断されていました。『ZAC』のコンタクト管理機能で顧客へのアクション履歴は残していたのですが、それを元にした施策は実行しきれていませんでした。また、コンバージョンしたユーザーのトラッキングデータもありましたが、活用するレベルには至っていませんでした」

SMPの導入によってユーザーが何回目のセッションなのか、何をキッカケにセッションをスタートしたのか、どのメルマガをクリックしたのか。また、滞在時間がどれくらいで、最初の接点となったリファラは何なのか。それらの行動データを顧客単位で把握可能になった点が大きな改善だ。

藤澤「以前はユーザーの行動が一元的に把握できず、カスタマージャーニーの解像度が粗かったのですが、SMPによってそれが一段上がったような印象です。直感的に想定していたカスタマージャーニーとの乖離を正確に把握できるのがありがたいです」

「ここまで緻密なトラッキングが取れていることが凄い!」と語るのは、2018年6月にマーケティング部門に参加し、マーケティング施策の改善を担当している山口さん。SMPを現場でもっとも使用しているメンバーでもある。

山口文香さん(以下・敬称略)「精密なデータがあると、判断も正確になります。デジタル上の施策を改善するプロセスも、データドリブンで進めることができています。Google Analyticsが示すアクセス情報解析だけでは顧客の行動が見えず、顧客ニーズにあったものが出せているか自信が持てませんよね」

マーケティングチームは、藤澤さんを筆頭に、精度の高いデータを元にしてDMやメールなどのコンテンツを改善してきた。

藤澤「SMPを使ったことで、意外な行動を発見できました。例えば、コンバージョンに至るセッションの前に複数回サイトを閲覧していたり、初回のセッションでは価格などよりも機能や事例がよく見られていたり。

ユーザーが実際にコンバージョンするまでにどのような情報を求めているのか、以前より具体的なイメージをもって把握できるようになったと思います」

山口「データを見た結果、Webサイトとメルマガを何度も往来している顧客が多いことに気づきました。顧客の行動に合わせて、Webとメルマガのコンテンツを連携させることで、より顧客にとって良い情報提供ができるのだと思います」

チームの拡大には継続的な成果報告も重要

試行錯誤の成果あってか、オロは全社的に、マーケティングチームの増員に力を入れている。チーム拡大の背景には、しっかりと成果を出し続けたことはもちろん、上層部との定期的なコミュニケーションがあったという。

山口「毎月、社長や事業部長、営業チーム長に対して、マーケティング施策を報告するミーティングを開催しています。このスライドは、プレゼンで実際に使用したものです」

山口「いくらのコストで何件のリードを創出できたかを上層部に共有しました。SMPで成果が出ています!と、数値を踏まえながらプレゼンできたのはよかったですね」

マーケティングチームの取り組みによって得られた成果が認められ、チームの人数は拡大を続けている。人員増強により、データから得られ知見を施策に落とし込むことが可能になりつつある。

藤澤「例えばメルマガでは、件名や配信タイミング、コンテンツなどパラメータが無数にあるため、さまざまな要素を変えながら試行錯誤する必要があります。そこで1名に専任で担当してもらうことで、件名を改善したり、地域に合わせてコンテンツを出し分けたり、といった実験ができるようになったのです。ツール選びも大事ですが、施策を実行するリソースを確保しておくことで、よりツールを活用しやすくなるのだと思います」

インサイドセールスのオペレーション改善

SMPの導入と人員増強を同時に進めていったことで、商談獲得件数は導入前に比べて増加。デジタルとアナログでの行動データや施策を横断的に組み合わせることで、顧客の行動をもとにしたアウトバンド施策の展開も進めている。

藤澤「一度架電した顧客がWebサイトを再来訪したらステップメールを送るなど、インサイドセールスが顧客をフォローしやすくなるような下地を整えています。実際、ステップメールをきっかけに架電することでアポイントを獲得したケースもあり、商談獲得件数が成長している実感があります」

インサイドセールス担当者は今後も増える予定だ。今後の伸び率からも目が離せない。

今後の展望

最後に、お二人が手がけるビジネスソリューション事業の展望を聞いた。

藤澤「ビジネスソリューション事業部としてのミッションは『ZAC』や『Reforma』をお使いいただくことで、より多くの企業の生産性を向上し、経営を効率化することです。経営者の皆様の『会社を成長させたい』『生産性を上げたい』という願いを実現するためのパートナーになり、プロジェクト型ビジネスに特化したNo.1のERPとして国内外に展開していきたいです」

オロ社のターゲットとなる企業は約6万社ある。その中で『ZAC』は500社、『Reforma』は約200社、計700社前後に導入されているものの、まだまだ拡大の可能性は大きい。

山口「我々もまだまだこれからという状況なので、他社様の取り組みや事例に学び、オロのビジネスソリューション事業部としてのマーケティングのあり方をつくっていきたいと思います。将来的には他社様の参考にもなるような組織、施策の打ち方をつくっていければいいと考えています」

そんな野心的な目標を事業を推進する上で、マーケティング支援ツールとの向き合い方はひとつのテーマだと語る。

山口「社内には3つのシステムが併存しています。DMなどのアウトバウンド施策や商談履歴はZACの『コンタクト管理』で管理していますし、インサイドセールスは自社開発した専用システムを使っています。そこにSMPがあるので、これらの情報を同期させ、さらにデータを活用した施策を実行できるようにしたいと思っています」

SMPをコアにしたシステムの整備とチームビルディングを急速にすすめるオロ社のマーケティングチーム。B to BのMA導入事例として、これからも要注目だ。