アルテリア・ネットワークス株式会社

「申込」に加えて「受付」も管理。
迅速な新型コロナワクチンの職域接種を実現した
シャノンのシステムとは


左:アルテリア・ネットワークス株式会社 人事本部 担当部長 山下 淳一氏
右:アルテリア・ネットワークス株式会社 人事本部 人事部 人事課 山名 裕美氏

自社保有の光ファイバーを活用した法人向けネットワークサービスを提供しているアルテリア・ネットワークス株式会社。

通信事業者の中でも、BtoBの収益基盤を持つことが強みだ。

2021年の新型コロナウイルスの感染が拡大する中、同社は「通信という社会インフラの提供企業」としての強い使命感によって、いち早く社員とその家族を対象にしたワクチンの職域接種を実施。

人事部・総務部を中心としたプロジェクトメンバーの尽力と、シャノンの「職域接種予約・現場管理システム」の導入によって、約1,000名のグループ社員(派遣社員・常駐業務委託社員を含む)とその家族の接種を成し遂げ、危機管理と事業継続、社員の安全管理の実績を築いた。


Point

  • 6月の職域接種実施決定から7月の1回目接種日までの1か月で導入
  • 申込だけではなく当日の受付まで管理できることが採用の決め手
  • 接種当日は、QRコード読み取りの「スピード」と「精度」で”密”を回避

社会インフラ企業としてのミッションから職域接種を実施

アルテリア・ネットワークスは全国規模の光ファイバーネットワークを自社で保有し、回線とプロバイダーとの契約をワンストップで提供する通信事業者。
ユーザーは個人だけではなく、法人、回線インフラを必要とする通信事業者と幅広く、収益の基盤はかなり堅牢といえる。

「マンション向けインターネットも含め、契約先は法人、事業としてはBtoBが中心であり、ネットワークの基盤を持つインフラの会社ともいえます」と語るのは、同社 人事本部 担当部長の山下淳一氏。
同氏は、今回の新型コロナワクチンの職域接種プロジェクトを推進した責任者だ。

当初、海外に比べ日本では遅れをとっていたものの、ワクチン接種は2021年から段階的に開始され、高齢者などへの優先接種は進展していた。
また政府の接種体制の方針への協力が企業にも要請され、各企業の対応が問われていた。

こうした中で、アルテリア・ネットワークスの職域接種への対応の動きは早く、2021年の6月の初旬に、全社員とその同居する家族に対しての職域接種実施を決定した。
「コロナ禍による通信のトラフィック量が増えたことで、通信事業者の責任が高まりました。だからこそ社員の感染などによって事業を止めるわけにはいかない。 インフラを支える企業としての使命感がありました」(山下氏)

その原動力になったのは経営層の判断だった。
「経営層が通信事業者の社会的責任を果たすため、感染予防について的確なリーダーシップを発揮し、“やるぞ”と決めたことが大きかった」と山下氏はいう。

「申込管理」に加えて「来場受付」もあわせて1か月で導入

職域接種の実施は、山下氏をはじめ人事部・総務部のメンバーによって目覚ましいスピードで進められた。

厚生労働省による「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する職域接種向け手引き(初版)」が公開されたのが6月の初旬。
業界団体を通じた接種の要望に関するアンケートへの回答を検討する中で、6月20日に実施が確定。
「その時期には多くの企業が手を挙げており、タイミングを逃すと受けられないという判断」があったという。 そして、第一回目の接種が開始されたのが7月9日。

そのわずかな期間で、接種管理システムの導入、社員の登録の受付、日程調整、医療機関への打診、問い合わせへの対応という膨大な作業を迅速に行わなければならなかった。

「接種を成功させるためには、ITが必要と考えました。 ワクチン接種予約管理システムを提供するベンダー数社に聞くと、多くの会社から構築が間に合わないと言われました。 そこでクラウドですぐに導入出来るシャノンに決めました。さらに他では出来ない会場での受付管理のシステムを持っていたことも理由です」(山下氏)

シャノンが職域接種の予約管理システムの提供開始のリリースをおこなったのが6月16日。
山下氏がシャノンに問い合わせをしたのがその直後で、シャノンのサービスリリースと同社の接種の正式決定が偶然重なったといえる。

導入された「新型コロナワクチン『職域接種』予約・現場管理システム」は、シャノンですでに提供しているSHANON MARKETING PLATFORM(SMP)を使ったものであるため今回の導入に対応できた。

システムとしては、事前予約管理から、当日の受付/予約確認業務/事後データ確認までをトータルで提供することが可能だが、同社の今回の導入では「メール配信」、「受講票」、「当日来場認証」の3つの機能が利用され、接種者の予約管理やスケジューリングはプロジェクトのメンバーが手動で行った。

流れとしては、人事部が社員に対しメールで接種開始日の予定の連絡とスケジュールの希望の回収を行い、その接種者情報をシャノンにインポートする。
その後は、シャノンでメールによる接種券(予約票)を配信、当日は来場認証というステップを踏んだ。

中でも一番の苦労は、事前の社員のスケジューリングだったという。

接種を行う医療機関との調整や副反応影響も考慮し、金曜日の業務終了後や土日に日程を組んだ。
また社員の希望に可能なかぎり沿えるように、第1、第2希望までをとったため調整は複雑化した。
さらに、厚労省の指定する2回の接種の間隔を開けたスケジューリング、社員と同居する家族の多様なスケジュール希望への配慮等、調整事項は膨大になった。

「人によっては家族で同日接種を希望する人もいれば、リスクを回避するため別の日を希望する人もいます。さらに、週末や休日に対応してくれる医療機関を探すのも一苦労でした」(山下氏)

さらにこうした苦労の中、肝心のワクチンの確保のスケジュールはなかなか見えないという状況が続いた。 厚生労働省にワクチン到着のスケジュールを確認してもなかなか確定の返事がこない。プレッシャーはさらに高まったという。

また、総務部が中心となったワクチンの冷凍保管は温度管理が厳格で、分納されたワクチンのロットナンバー管理の負担も大きかった。

想定外の事態を乗り切れたのは「現場での機転」と「システムの力」

結果的にはうまくいった職域接種だが、実際の現場では特に初日の苦労が大きかった。 人事部の山名裕美氏は、「初日は慣れないこともあり、受付は大変でした」と語る。

「接種券を持参しない人」、「当日検温をしてこない人」が予想以上に多く、さらに、備品でもともと用意していた体温計が旧式で検温に時間を要するといったことが発生した。
本人確認のための生年月日の申告で西暦と和暦の読み替えに手間取るなど、多くの不都合があった。

こうした細かな問題を現場の機転とスタッフの尽力で解決した。
「2日目には初日の問題はほぼ解消し、驚くほど受付の対応スピードが上がりました」と山名氏。

こうした中で、シャノンの受付システムの効果は大きかったという。
メールで配信された予約票に記載されたQRコードの読み取りが、当日のオペレーションに大きく寄与した。 最も効果が得られたのは、その読み込みの「スピード」と「精度」だったという。

「読み取りの速さに加え、その精度の高さで随分助かりました。 地方自治体の導入するシステムなどで、二次元バーコードの読み込みが不正確だという問題が生じていることを知っていましたから。 とにかく“密を避ける”ために滞留を生まないということ、事後の接種者の的確なフォローが最優先だったので、QRコードは必須だったと思います」と山下氏。

もうひとつは、シャノンで管理していることで予定の変更が効率的にできたことだ。
接種後、2度目の接種の変更希望も数多く発生する。 社員から変更の要望があっても、画面入力ですぐに対応できた。

危機管理と社員の安全管理の実績を未来につなぐ

職域接種という初めてのプロジェクトは、こうした努力によって無事終了した。
1回目の実施が、7月9日から18日、2回目は8月6日から15日まで。
いずれも、金、土、日の週末の日程で、グループ社員と家族あわせて約1000名が対象となった。

「社員からたくさんの感謝の言葉をかけられ、また企業としての感染予防という社会への貢献につながったと考えています。 困難を極める取り組みでしたが、今後のための重要な経験だったと思います」(山下氏)

感染予防によって社員の安心につなぐことができた今回の経験は、今後の事業継続、危機管理につながる。
通信事業という社会インフラを担うアルテリアグループのミッションを果たしたといえるだろう。