ブラザー販売株式会社

“At your side.”の理念にもとづいた
ブラザー販売のマーケティング。
シャノンで実現するデマンドジェネレーションとは


左:ブラザー販売株式会社 ビジネスソリューション事業部 ソリューション推進部 BtoBマーケティングG
伊藤 潤 氏
右:ブラザー販売株式会社 ビジネスソリューション事業部 ソリューション推進部 BtoBマーケティングG
田川 碧 氏

ブラザー販売は国内での法人向けの販売を強化するためのBtoBのマーケティング部門の起ち上げとともに、「SHANON MARKETING PLATFORM」(SMP)を導入。

顧客リードの獲得と分析、デモ機貸出しの管理、さらにはオンラインイベントなどのプラットフォームとして活用してきたが、それらの施策を管理するだけではなく、蓄積されたデータをもとに新たな需要を発掘しながらデマンドジェネレーションを実践している。


Point

  • 戦略的な法人向け事業を推進するBtoBマーケティングの基盤としてSMPを活用
  • シナリオ機能を活用した「デモ機貸出し」管理の効率化
  • 受注までの顧客の行動データを見える化することで、新たな需要を発掘
  • アウトバウンドコールによる定性情報の管理

常に変革を求め、データ活用による新たなマーケティングを展開

1908年にミシンの修理業から始まったブラザーグループ。 一世紀以上にわたる老舗企業としてプリンターや複合機などのリンティング・アンド・ソリューションズ事業を中心に、世界40以上の国と地域に拠点を置き、グローバルに事業活動を展開している。

そのブラザーグループの国内マーケティングを担う企業として、多様な製品やソリューションを提供しているのがブラザー販売だ。

ブラザーといえば、オフィス用のプリンターや複合機などが有名だが、それだけではない。
東京・京橋のショールームには、ラベルプリンター、モバイルプリンター、業務用刺しゅうミシンなど、多種多様なマシンが並ぶ。

こうした製品群の価値を市場のニーズに結びつけ、ひしめく競合から差別化し、新たな顧客を獲得するための戦略が求められていた。

ブラザー販売の売上の多くは法人の顧客を占める。
販売は、代理店経由が中心で、直販のように顧客のニーズを察知することが難しい。

ブラザーグループが掲げる“At your side.”という考えに基づいた、より顧客に寄り添った積極的なマーケティングが求められていた。

この課題への取り組みに向けて、2019年にBtoBマーケティングG 立ち上がった。

オウンドメディアやメール配信、データ分析、イベントの企画運営からリードの管理、さらにはインサイドセールスのチームもこの部門の中に置かれ、少数精鋭のチームとして活動が開始された。

「人数は限られていますが、自分たちの専門の業務を持ちつつ協力しながら進めています」と語るのは、同グループメンバーの田川碧氏。

法人向け製品やソリューションを紹介する、同社のオウンドメディア「ビジネスNAVI」の運営も行っている。田川氏はマーケティングの立場からメディアのコンテンツ制作にも尽力している。

同グループのメンバー伊藤潤氏は、法人営業出身。 案件創出を目的とするBtoBマーケティングのチームの中で、伊藤氏の営業経験に基づく課題意識は貴重だった。

「元々マーケティングの部隊はあり重要な役割は果たしていたのですが、製品ごとの展開でした。 複数ある商材を横断した顧客志向のマーケティングへの転換が必要と感じていました」と伊藤氏は言う。

導入の理由は、高度な業務を実現できる機能の豊富さ

こうした広範囲のBtoBマーケティングを展開するためのプラットフォームとして、シャノンのSMPが採用された。

シャノンが選ばれた理由は、高度な業務を実現できる機能の豊富さだ。
国産のMAとして、様々な日本企業のニーズを取り込んできたことから、現場の用途に応じてカスタマイズさせることができる。

ブラザー販売にとって、本格的なMAの導入は初めてだったが、業務にあわせてさまざまな機能を活用している。たとえば、以下のような活用の方法だ。


  • 「デモ機貸出し」では、シナリオ機能を使って返却リマインドメールを送信
  • インサイドセールスでのヒアリング内容の登録に「アンケート」を活用
  • 他ツールとの連携によるデータ基盤の拡充と施策づくり

お客様とつながるための「デモ機貸出し」ビジネスを効率化

ブラザー販売の注力する「デモ機貸出し」とは製品の導入を検討している法人向け2週間無料の検証サービス。 元々は市場調査を目的として始まったこの施策は「お客様と一緒に育ててきたビジネスだといえます」と伊藤氏。 まさにブラザー販売の”At your side.”を象徴する施策だといえる。 そしてこのビジネスにSMPのシナリオ機能がマッチしている。

「ラベルプリンターなどは、お客様の実際のニーズに見合うかどうか、製品スペックだけでは判断が難しいのです。実際に使ってもらってはじめて購入のフェーズになります」(伊藤氏)

貸出の期限の管理は、通常インサイドセールスのヒアリング内容を登録する機能であるSMPの「活動履歴」、メールによる通知にはシナリオ機能を使っている。 貸出期間の終了が近づくと自動的にリマインドのメール配信がされる。 顧客の反応や条件に応じて貸出から購買に導くために、メールの内容の出し分けを行っている。

「貸出の返却通知にMAツールを使うというのは少し変わった使い方かもしれませんね」と田川氏は言う。

受注までの顧客データを見える化することで、明らかになった意外な需要

もうひとつ、SMPの導入による効果は、受注までの顧客データを見える化できたことだ。

SMPの前にもBIツールは使っていたが、顧客のおおまかな把握だけで、データの分析は手薄だった。 データを分析することでそれまで想定していなかったような意外な需要が明らかになった。 たとえば、ブラザー販売では売上規模100億以上の大きな企業がターゲットだったが、SMPによる分析から中堅・中小規模の重要性が判明した。

「それまではビジネスNAVIも大企業向けのコンテンツを掲載してきましたが、中堅・中小規模向けのコンテンツも重視することにしました」と田川氏。

インサイドセールスとオンラインイベントを強化

ブラザー販売の場合、インサイドセールスを統括するメンバーが営業ではなくマーケティング部門の中にあることで、リード獲得から架電、案件創出といった一連の活動がうまく連携している。

BtoBマーケティンググループのメンバーがインサイドセールスを管理することで、ある程度絞り込まれたホットなリードだけが営業に引き渡されるため、営業の商談化率は高くなっているという。

また、定例のユーザー会で、シャノンの営業が紹介したことがきっかけとなり、外部パートナー企業によるアウトバウンドコールも実施している。 このアウトバウンドコールでもSMPが利用されている。

ただし、活動履歴そのものの機能は、デモ機の貸出し管理に利用しているため、外部パートナーが架電した際の情報はアンケート画面を使って記録している。

「イレギュラーな使い方ですが、定性的な情報も入力できます。お客様のリアルな声を日々ヒアリングして、記録しています」と田川氏は話す。

2020年のコロナ禍によって、リード収集の最大の手段だった展示会への出展や自社の大型イベントが中止に追い込まれたことをきっかけに、ブラザー販売としてはオンラインイベントの実施を開始した。

2020年11月に開催したオンラインイベント「Brother World Online」では、リード獲得を目標に据えた。 2021年2月開催以降は、より商談や案件化を意識した内容にシフトさせ、現在もまだ試行錯誤の段階だ。

数千名規模の大規模イベントと、随時発生するオンラインセミナーまでを、登録管理と集客メールにSMPを活用している。

このように、リード、インサイドセールス、イベントからデモ機貸出しまでの業務を一気通貫におこなうことで、BtoBマーケティングのためのデータ基盤は拡充していった。

現在では、SMP以外にも徐々に連携するツールやシステムも増えた。SalesforceのCRMやランドスケイプ社が提供する企業情報によってリードの顧客情報を拡充させている。

また、今後はアップセル、クロスセルにも注力していく。 「新規顧客だけでなく、既存顧客の需要が高いこともわかってきました。データの分析から施策を考えることの大切さを日々実感しています」(田川氏)

「シャノンのSMPの良いところは、オフラインで集めたデータとオンラインで集めたデータの双方を一元管理できることです」と話す伊藤氏。

MAであると同時に、業務全般のインフラとして活用することで、ブラザー販売のBtoBマーケティングは、当初思い描いた目的に一歩一歩近づいている。